送電線ウォーク〜新京葉線①

投稿者: | 2024年5月9日

送電線に沿って歩く「送電線ウォーク」をついに始めました! 記念すべき第一回は、東京電力パワーグリッド「新京葉線」です。

送電線のご紹介

新京葉線は、千葉県船橋市(といってもほぼ白井市ですが)の新京葉変電所から、茨城県古河市の新古河変電所までを結ぶ50万Vの送電線です。ほぼ中間地点に新野田変電所もあり、短い新野田線が分岐しています。

新京葉線の位置(東京電力パワーグリッド 空き容量マップより)

新京葉線は、東京都市圏を何重にも取り囲む500kV外輪系統のうち、最も都心に近い環状線を構成する送電線の一つです。主に、千葉県内の火力発電所で作られた電力を東京に運ぶ役目を担っています。かつては275kVの東京東線が千葉県の火力発電所を一手に引き受けていましたが、電力需要の増大により千葉県の東京湾岸に相次いで火力発電所が新設され、より容量の大きな新京葉線にその役目が引き継がれた形です。

最近では、千葉県内の太陽光発電所で産み出された電力を東京へと運ぶ役目も担っており、季節や時間帯を問わず最も混雑している基幹送電線の一つです。

今回歩いた5月4日12時の潮流状況。赤枠が新京葉線のうち新京葉~新野田間。この日はGWかつ快晴に恵まれ、一時太陽光が需要の半分近くを占めていた

歩行ルート概要

  • 日時: 2024/5/4 12:30頃~18:00頃
  • 天気: 快晴、暑い
  • スタート: 新京葉変電所
  • ゴール: 柏たなか駅付近(本当は新野田変電所まで歩きたかったのですが、日没のため断念)
  • 歩行距離: 約30km
水色部分が今回の歩行ルート(Google タイムラインより)

記録

いざ現地へ

初夏の日差しが照りつけるゴールデンウィークの12:30、北総線に揺られて小室駅で下車し、今回のウォーキングを開始しました。降りたそばから巨大な鉄塔がお出迎え。線路と国道に行く手を阻まれながら歩くこと20分、スタート地点の新京葉変電所に到着しました。

新京葉変電所

大きく2つのエリアに分かれています。1つ目は昔からあるエリアと思われます。千葉火力などからの電気が乗ってくる北千葉線、旧外輪系統を構成する東京東線、都心部に電気を送り込む江東線(いずれも275kV)が主役として引き込まれていました。また、多数の地域供給系(154kV、66kV)もここから出ていて、かなり広い敷地でした。何十年も昔から、ここが千葉県の火力地帯を東京へと繋ぐ大事な結節点の一つであったことが分かります。

新京葉変電所の正門

もう一つのエリアには、500kVの送電線が引き込まれていました。遠くからしか写真は撮れませんでしたが、新京葉線の他にも房総線、印旛線、新豊洲線が接続されており、長いがいし連が並ぶ設備は迫力がありました。このうち新豊洲線は地中送電線なので、鉄塔は見えません。このエリアと昔からある275kVのエリアは、おそらく地下ケーブルで繋がっていると思います。変電所を1周するだけで30分近くかかってしまいました。

全景。中央部が275kV以下のエリアで、左にある門型の引き込み設備が500kVのエリア

白井市内

新京葉変電所を出た直後の数径間は房総線と並走していましたが、背の低い鉄塔で新京葉線は西へ向きを変え、別れます。

並走する新京葉線(左)と房総線(右)

しばらくはのどかな畑作地帯を進んでいきました。送電線と平行に進める道を探しながら進みますが、途中雑木林や小さな山に遮られて余計な遠回りをしました。送電線から数百メートルも離れると建物の影になって鉄塔が見えないうえ、距離もかなり増えるので、何のために歩いているのか分からなくなります(送電線を歩くなんて最初から目的が分からないという指摘はご法度です!)。

送電線と平行な道が無いので遠回り

一度橋が架かっていない水路にぶつかってしまい、膝下まで草の茂る畔道を数百メートル歩く羽目になりました。

誤って橋のない水路に突き当たった

柏市内(手賀沼・北柏駅)

柏市内に入ると、畑ではなく水田が増えてきました。北へ歩くにつれて宅地も増えてきました。

水鏡がきれい

この鉄塔なんかは台地の上に造成された新興住宅地の入口に立っているのですが、容易にアクセスできるので色んな写真を撮ることができました。鉄塔マニアにはお馴染みらしい「東電杭」もありました。

なんかカッコよく撮れたNo.104鉄塔
鉄塔マニアにはお馴染みらしい「東電杭」

しばらく歩くと「手賀沼」のほとりに出ました。広大な沼地で、周囲にはサイクリングロードと歩行者・ランナー用の道が設けられており、大変歩きやすかったです。

手賀沼のほとり

赤白鉄塔を遠くまで見渡すことができ、鉄塔の真下で写真も撮り放題です。

どこまでも続く赤白鉄塔(新京葉方面を望む)

手賀沼を抜けるとすぐ常磐線を越えて北柏の街に出ます。鉄塔が道路に沿っているので非常に歩きやすいです。セブンイレブンでしばし休憩し、また上り坂を越えて台地の上に移ったようです(ここまで水分補給以外の休憩を全くしていない)。

セブンイレブンで休憩

ちなみにこれは全く関係ない「ドナウ鉄塔」です。普通の鉄塔は腕が両側に3本ずつ計6本あるところ、計4本で下の長い腕に2本ずつ導体が吊られています。横幅を犠牲にしてでも高さを抑えたい場所で使います。ドナウ鉄塔と名が付くだけあって、ヨーロッパ旅行の時に車窓から見えた鉄塔はこのタイプばかりでした。

ドナウ鉄塔。腕金の数が特徴的

柏市内(花野井・大室)

鉄塔は利根川沿いの低地に移りますが、送電線と平行な道がないため、無理に送電線に沿って歩こうとすると何度も川沿いの崖を上り下りすることになります。割と足に負担がきていたので、川沿いには下りず遠目で写真を撮るに留めました。昔からの畑と雑木林がある田舎の街並みです。

川沿いの鉄塔を遠巻きに眺めて歩く

しばらく歩くと、家や街区の雰囲気からして数十年前に造成されたと思しき住宅街の中をひたすら抜けることになります。柏ビレジというらしく、結構広いです。水辺のある公園で休憩しましたが、ちょっと鬱蒼としすぎ。ここで育った子供はもう別の場所に出て行ったんだろうな~~あと何年で一帯が高齢化集落になるんだろうな~~(駅まで歩くと30分以上あるので今後人が増えるかというと……)という得も言われぬ悲壮感のある場所でしたね。こんな場所がどんどん増えていくんだろうな。※参考:https://kashiwa-village.com/aboutkashiwavillage/history

柏ビレジ水辺公園。ちょっと鬱蒼としている

柏たなか駅でゴール

住宅街を抜けた頃には日没が近づき、新野田変電所まで歩いたら真っ暗になってしまいそうだったので、途中の柏たなか駅で今回のウォーキングを終えました。足もそれなりに痛かったのでちょうどいいでしょう。

柏たなか駅で終了

サウナで有名なスーパー銭湯が近くにあるらしく(なおサウナ趣味はございませんが)、いい汗を流して家に戻りましたとさ。

インスタ映えを狙ったパネル。実際若いお客さんがとても多かった

感想

初めてやってみましたが、けっこう時間が掛かるので、午前中に始めるほうが良いです。また、送電線は鉄道や道路と違って人里離れた場所に建設されがちなので、事前に休憩スポットやルートを調べておくと幸せになれると思いました。

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